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インタビュー

母校の評判というものはその卒業生が作るもの

114周年ホームカミングデー「記念講演」では各分野で活躍されている3名の卒業生の方々を中心に、学生時代の思い出や人生にインパクトを与えた経験、母校への期待などを伺いました。対談のようすを抜粋してご紹介します。

横向 慶子(よこむかい よしこ)、木村 剛(きむら たけし)、 五十嵐 律人(いがらし りつと)

横向 慶子(よこむかい よしこ):1961年岩手県久慈市生まれ。1984年東北大学農学部卒業、1986年同大学院農学研究科食糧化学専攻修了。 木村 剛(きむら たけし):1968年岩手県盛岡市生まれ。1990年東北大学経済学部卒業。 五十嵐 律人(いがらし りつと):1990年岩手県盛岡市生まれ。東北大学法学部卒業。

仙台、そして学生時代の思い出

木村)特に強烈な印象だったのは「深夜マラソン」。学友会ゴルフ部に所属していたので初年度は強制参加のような感じで参加したのですが、真夜中にもかかわらず地域の方々が声をかけて応援してくれたり差し入れをくれたり、仙台の方々の学生に対する温かさを感じてすごく思い出に残っています。

横向)私は深夜の松島ウォークが忘れられませんが、思い出というと東北大での縁に感謝しています。如春寮(女子寮)で同室になった先輩が学友会E.S.S.部に所属していて、その誘いでE.S.S.に入部しました。1・2年生だけでスピーチコンテストやディスカッションやディベートをしていましたが、そこでいろいろな学部の友人や先輩方と知り合うことができ、かけがえのない財産になりました。歳を重ねると若い時に思い出を共有した仲間に先立たれたり、あっという間に時間は過ぎ、まさに一期一会であると感じますし、縁に導かれていると思います。社会人になってからアメリカに留学する機会があり、即諾できたのはそういう意味では、東北大学での人間関係が原点になっていると気がつきました。

五十嵐)私は人生の岐路にいつも仙台にいた、と思い出します。小説の設定でも無意識に仙台にちなんだ名称を使うことも多く、仙台での経験が脳裏に焼き付いてるのだと思っています。なんとなく法学部への憧れを抱いて入学しましたが、2年生の時に東日本大震災を経験して、当たり前と思ったことが実は当たり前ではないことや、友達との繋がりの大切さを学んで、そこから本格的に勉強に力を入れました。4年生の時にはもっともっと法律を勉強したいと思いロースクール(法科大学院)に進学して無事に司法試験に合格したんですが、弁護士になりたいのかわからなくなってしまい、自分の人生について考えました。その時にもう一度何かに挑戦したいと思い、小説を書き始めました。進路を決めたり、小説家になったり、弁護士になる覚悟を決めたり、常に仙台が中心で、大学や仙台での経験が作家としても本当に自分の基礎になっていると感じます。

今の自分や人生に影響を与えた母校での経験・言葉

横向)自分の「横向」という姓のせいなのか、在学中に大変お世話になった恩師・木村修一先生から、卒業時に「前向きに」という言葉をいただいたのが印象的でした。もちろん笑い話でもありますが、研究室の味覚研究のスタート者として成果も出し、大学院修士で国際会議にも参加させていただいたにもかかわらず「前向きに」の言葉はメッセージは深いと思いました。結婚後も旧姓を名乗りながら前向きを意識して生きているのは、その時の先生の言葉の影響もあると思っています。

五十嵐)劇的な出会いや思い出に残る言葉というよりも、私にとっては大学生活での一つ一つの積み重ねの中で、自分の価値観やビジョンが見えてきたんだと振り返っています。法律については大学の様々な教授の講義を受けてのめり込んでいき、小説については法学部の先輩である伊坂幸太郎先生の作品を通じて小説の面白さや仙台の魅力に気付き、それぞれ影響を受けました。

木村)3・4年生時の栗山 規矩教授のゼミで、企業等の実例に即して皆で議論したことが記憶に残っています。ゼミでの話題から「プロフェッショナル」に対するイメージが変わりました。プロになることは難儀で敷居が高く感じるが好きな気持ちをもって取り組めば意外に早く身につくことだと学びました。その学びは今でも大切にしていて、経営しているビール会社の社員たちにも機会がある毎にその話をしています。

五十嵐)私は「妥協をしないこと」を大切にしています。いつもそれが本当に正しい選択なのかと一つ一つちゃんと考えることに決めています。

横向)私が一番大切にしていることは「serendipity」という言葉です。研究でも商品開発でも教育の場でも、すべてちゃんと準備をして段取りよく整えていて初めて新しい発見や出会いがあったりひらめきが生まれるので、その準備を怠らずに自分の好奇心を常にワクワクさせていることで、その「serendipity」=「幸運な偶然」が現れるのだと思っています。自分も心がけていますし、高校生たちにもよく話しています。

母校、東北大学への期待

五十嵐)私は、母校の評判というものはその卒業生が作るものと思っています。純粋に卒業生として活躍して母校に恩返ししたいと思います。冒頭の総長講演で法科大学院の司法試験合格率が出ましたが、50%を超えていました。私が在学していた頃には想像がつかないような高い数字が出ていて感心しました。また、学生にとって挑戦できる道が開かれていて、かつそれが周知されている大学であってほしいと思っています。

木村)ここ10年、東北が特に注目をされることが多くなり、メディアでも東北大の先生を見る機会が多くなってきたと感じます。母校には、東北らしさ、東北人らしさ、そして東北の地にある意味をこれからも大切にしてほしいと思います。また、総長講演にあったようにリベラルアーツ、一般教養の分野にもぜひ力を入れて幅広く活躍できる人材を育てていただきたい。東北から世界に飛び出していく人材をたくさん育ててほしいと思います。

横向)ビール会社に勤務していた時にいろいろな大学出身の方々と出会い、それぞれの個性を感じました。東北大出身者は遠慮がちな方が多く感じますが、ランキングなどでも見るように東北大は評価が上がってきているので、遠慮せずに表に出て発信してほしいと思います。また、先ほどの総長講演のとおり、卒業生をもっと巻き込む、在校生と関われるような場がこのようなオンラインやSNSなど色々な角度からあれば良いと感じます。

当日の配信内容をYouTube「萩友会チャンネル」で公開中!

●プロフィール
横向 慶子(よこむかい よしこ):1961年岩手県久慈市生まれ。1984年東北大学農学部卒業、1986年同大学院農学研究科食糧化学専攻修了。大学院修了後、キリンビール株式会社に入社。2020年より新潟食料農業大学食料産業学部教授。 木村 剛(きむら たけし):1968年岩手県盛岡市生まれ。1990年東北大学経済学部卒業後、キリンビール株式会社へ入社。1996年株式会社銀河高原ビールへ転職。3年半後、同社を退社し、2001年にベアレン醸造所を立ち上げる。 五十嵐 律人(いがらし りつと):1990年岩手県盛岡市生まれ。2020年『法廷遊戯』で第62回メフィスト賞を受賞し、デビュー。同年、「ミステリが読みたい!2021年版」新人賞を受賞。「法廷遊戯」が映画化、2023年11月に公開。